【カメラを止めるな】感想《面白くないことが面白くなる新感覚!》
面白かった!!
いや本当に面白かったよこれ!
僕は基本的に、個人的に面白い映画と、人に勧めることのできる面白い映画は別物だと思ってるんですがこれは後者ですね。
映画の存在はツイッターで知って評判良さげだったから見に言ったんですよ。
最初、数十分は正直
騙された!!
と思ったんですよ。
何しろ面白くない!
最初の展開は「ゾンビ映画を撮影してたら、実際にゾンビに襲われた」みたいな話なんですが、
意味不明な会話のテンポ。
不自然な間。
ゾンビが発生してるのに椅子に座り続ける録音係。
登場人物(主に録音係)の意味不明な行動。
ワザとらしい台詞。
しつこく繰り返されるシーン。
登場人物に存在が認知(監督には話しかけられてる)されたり、認知されなかったり(彼だけ怪我の有無を聞かれない)するカメラマン。
台詞とかはワザとらし過ぎて、この実際にゾンビに襲われたっていうのも実は芝居で、その内ネタバラシするんじゃないかとも思ったんですが、このシーンがあまりにも長い!
何十分あったんだろ?
合間合間にまぁまぁ笑えるシーンはあるんですけど、基本的にはつまらないんですよ。
そしてエンドロール。
流石に何か続きがあるだろうと思ってはいたんですよ。でもひょっとしてこれで終わりの可能性(何分上映したかこの時点でわからないほど体感時間を狂わされた) を考えて震えていました。
しかし!こっからが本番!!
始まるのは撮影の裏話。
想像通り、前半の映画の内容は劇中劇だったけど、撮影の裏側には想像以上の大騒動と狂乱が!
プロデューサーからの無茶振りでゾンビ映画ノーカット一発録り生放送に挑む監督。
次々に発生する問題。
何とか放送を成功させる為に奔走する人達。
あのつまらなかった映画の、つまらなかった部分全てに意味があったのだ!!
これ同じ展開でも、前半の映画を面白く作ってしまってたら後半も楽しめないと思うんですよね。
前半の映画の内容に違和感があったから、しっかりその部分が記憶に残ってて、それを後半で答え合わせができる。
変な間はアドリブで時間稼ぎしないといけないところだったり、意味不明な行動は役者の人が腹を壊してたり。
個人的には監督が1番演技が上手い(と見せかけて本音をぶちまけてる)ところが好きですね。
あとゲロ吐きかけられるシーンはちょとって言ってた女優さんが最終的にはドロドロになってたり、拘りありすぎてめんどくさいイケメン俳優が最終的には監督達と一緒にピラミッド作ってるとこも好きです。
でも1番好きなのは
「そんなに細かいところ見てる人いないよ」
とプロデューサーに言われた監督が
「いるでしょうよ!」
と一瞬キレるとこですかね。あそこにこの映画に携る全ての人の、製作者として、表現者としての思いが込められてると思いました。
他にも好きなシーンはいっぱいあります。
最初はあんなに退屈していたのに!
つまらなかった映画(しつこい)が最終的には全てが裏返り最高傑作になる。
驚くべきはあのつまらない映画を数十分流し続けた胆力。
まともな精神じゃないぜ(褒め言葉)
という訳で、とても満足して映画館から出ていける作品でした。
流行ってくれ!